交通事故死より身近に起こるヒートショック
日に日に寒くなっていますが、
この時期からよく耳にするようになる『ヒートショック』。
この『ヒートショック』という言葉をご存知でしょうか?
急激な温度変化による血管の拡張・収縮により起こる体への悪影響のことで、
最悪の場合は心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす、大変危険な事故死要因の1つです。
血管が弱くなる高齢者を中心に、毎年多くの人がこのヒートショックによって
死亡しているとされています。
突然死を招くこの症状、対策はあるのでしょうか?
今回はヒートショックの実態と、できうる対策についてお話していきます。
交通事故を上回る死亡率
とある研究によると、ヒートショックに関連した急死が1万7000人と推計され、交通事故の死亡者数(約4000人)をはるかに上回ると報告しています。実に4倍以上のとなっています。
その多くが65歳以上の高齢者です。これらのデータから「高齢者にとって屋外よりも屋内の方が危険である」と指摘されることもあります。
ヒートショックはお年寄りが無くなる主な原因の1つに挙げられるほどに身近なもので、決してまれに起こる事故ではないのです。昔から「冬は葬式が多い」と言われていましたが、その理由がこのヒートショックにあることがわかってきています。
暖かい⇔寒いの往来が発生原因
ヒートショックは主に暖かい所から寒い所への行き来を繰り返すことで、発生リスクが高まります。
暖房が効いたリビングから寒い脱衣場へ。そのまま熱いお風呂に浸かり、また脱衣場、そしてリビングへと移動する。この急激な温度変化によって血管が拡張・収縮し、血圧が乱高下することで健康被害を引き起こします。
冬場はこういった気温変化の大きいスペースを激しく移動するタイミングが多くあります。暖房の効いた部屋→夜中の寒いトイレの往来だけでも、ヒートショックは発生してしまうのが現実です。
屋内の気温を均一に保つ工夫
こういったヒートショックの危険性に対し、重要かつ最大の対策が屋内をなるべく均一の温度に保つことです。
廊下やトイレ、脱衣場といった暖房の熱が行き渡りにくい場所こそ、しっかりと気温を上げる工夫を施さなければならないのです。
小型の暖房器具を利用したり、大型のエアコンを導入してリビングの扉を開放するなどの対応が望まれます。
浴室では入浴前にシャワーを先に出しておいたり、湯船の蓋を開けることで湯船と浴室内での寒暖差を小さくすることができます。
また、気温が大きく低下する深夜や飲酒後の入浴はヒートショックの発生率が上昇するため、できるだけ控えるよう心がけましょう。
一階全室床暖房が理想的
暖房器具の利用工夫によってヒートショックのリスクを低減されますが、その対策には新規購入や暖房光熱費の倍増など、金銭的コストとして生活に降りかかってきます。
現在リフォームや新築住宅をお考えの方の場合、あらかじめ寒さ対策を施した仕様の検討もオススメします。
中でも全室床暖房はヒートショック対策として特に有効です。床暖房は全ての空間を均一に暖める事ができるので、体に負担の少ない屋内を容易に実現できます。
一階全室床暖房であれば、水周りを含む全ての空間が同じ気温で整える事ができ、正に理想的。温水式の床暖房であれば、対応スペースの拡大によって増えるコストもわずかに抑えることが可能です。
床暖房は新築・改築時以外では実装が非常に難しい暖房器具なので、限られた機会を逃すことなく導入の検討を行って頂きたいです。
まとめ
ヒートショックによる事故死は、我々の生活と切っても切り離すことができない存在です。今後、日本社会における高齢者の割合が日に日に増加していくのは間違いなく、今後より注目を集めることになっていくでしょう。
マイホームは一生の買い物になる方がほとんど。自分が高齢者になった時のことも考えて、住宅の仕様をしっかりと吟味することが重要です。
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